なぜそうなるか
マットレスの「かため」「ふつう」は、数字で分けられていた——消費者庁の規程は、ウレタンフォームマットレスの硬さを「110ニュートン以上」で「かため」と表示するとしていました
マットレスを買いに行くと、売り場の商品には小さな表示票が付いています。材料、寸法、硬さといった項目が並んだ札です。
札の書き方は、店やメーカーが自由に決めているわけではありません。家庭用品品質表示法にもとづいて、消費者庁が品目ごとに表示の決まりを置いているからです。
マットレスは、その決まりのうち「雑貨工業品」の1つです。しかも1つではなく、ウレタンフォームマットレスとスプリングマットレスの2つに分けて書かれていました。
同じマットレスでも、表示する項目は2つで違います。ウレタンのほうには硬さと復元率があり、スプリングのほうには詰物の材料があります。
札の「かため」という言葉も、売り手の感じ方で付けたものとは限りません。規程は、ある測り方で出た数字をもとに、使う言葉を決める形です。
この記事では、消費者庁の「製品別品質表示の手引き」のうち、ウレタンフォームマットレスとスプリングマットレスの2頁を、2026年9月26日の時点で読みました。表示の項目と、その決まりを並べます。どれを買うべきか、寝心地がよいかどうかは扱いません。
・マットレスの表示の決まりは、ウレタンフォームとスプリングの2つに分けて置かれている
・ウレタンフォームマットレスの硬さは、測った数字で「かため」「ふつう」「やわらかめ」を使い分ける
・復元率は「96%」のように書き、「95%以上」とは書かない決まりになっている
・スプリングマットレスは、折り畳めるかどうかで「一体式」「連結式」を表示する
・使用上の注意は、本体から簡単に離れない方法で付けることになっている
マットレスの表示の決まりは、どこに置かれている?
マットレスの札の書き方は、誰が決めているの?
消費者庁の「製品別品質表示の手引き」には、雑貨工業品の一覧があります。その中に、スプリングマットレスとウレタンフォームマットレスが別々の頁で並びます。
ウレタンフォームマットレスの頁が定める対象は、次のとおりです。
あらゆる形態で用いる寝具用のもの。
そのうえで、厚さの条件が1つ付きます。
ウレタンフォームの部分の最大の厚さが50mm以上のものに限る。
スプリングマットレスの頁の定義は、次の1文です。
マットレスのクッション材としてスプリングを使用したもの。
表示する項目は、2つで違う
2つの頁が挙げる項目を並べると、次のようになります。当方が頁の見出しを拾って並べたものです。
| 項目 | ウレタンフォームマットレス | スプリングマットレス |
|---|---|---|
| 材料 | ○(クッション材) | ○(詰物の材料) |
| 構造 | ○ | ○ |
| 寸法 | ○ | ○ |
| 硬さ | ○ | ― |
| 復元率 | ○ | ― |
| 外装生地の組成 | ○ | ○ |
| 使用上の注意 | ○ | ○ |
| 表示者名等 | ○ | ○ |
札の「かため」は、どう決まる?
「かため」「ふつう」は、お店の感覚で書いているの?
規程によれば、硬さは JIS に定められた試験の方法で測り、ニュートン単位で表示します。
この場合に得た数字の大きさに応じ、次の表に掲げる区分に従い同表に掲げる用語を表示し、数値を括弧書きで付記するものとする
区分と言葉の組み合わせは、頁の表にこうありました。
| 区分 | 用語(表示名) |
|---|---|
| 110ニュートン(11重量kg)以上 | かため |
| 75ニュートン(7.5重量kg)以上110ニュートン(11重量kg)未満 | ふつう |
| 75ニュートン(7.5重量kg)未満 | やわらかめ |
規程は、言葉に数値を括弧書きで付記するとしています。札では、言葉と数値を一緒に見ることになります。
スプリングマットレスには、硬さの項目がない
スプリングマットレスの頁には、硬さの項目がありません。硬さの言葉が札に書かれていても、それはこの規程が求める項目ではないことになります。復元率の「96%」は、何を表している?
復元率が「95%以上」と書いてあったら、それでいいの?
復元率の書き方について、ウレタンフォームマットレスの頁の説明はこうです。
復元率の表示値は、製品のバラツキ及び測定誤差を見込んで控えめにした「それ以下の数値」を出すことになっている。
続けて、書き方の例も載っています。
「復元率96%」のように記載し、「復元率95%以上」のような表示は適切ではない。
当方の読みでは、札の復元率は「少なくともこれくらいは戻る」という側の数字です。
スプリングマットレスの「一体式」「連結式」とは?
スプリングマットレスの札にある「連結式」って何?
構造の表示について、スプリングマットレスの頁の決まりはこうです。
特にその構造が一体で折り畳みできないものは「一体式」、ファスナー、布地等で連結されており、折り畳みできるものは「連結式」と表示する。
寸法の書き方にも、連結式ならではの決まりがあります。
連結式のものは、個々のマットレスを測定し、その和を表示する。
詰物は「コイルスプリング」の後ろに括弧で書く
詰物の材料は、「コイルスプリング」という言葉を先に置き、その後ろの括弧に材料の名前を書く決まりです。頁の表には、ウレタンフォーム、パームパッド、フェルトといった言葉が並びます。
使用上の注意は、どこに付いている?
使用上の注意は、2つの頁とも本体から離れにくい付け方を求めていました。ウレタンフォームマットレスの頁の文です。
ただし、使用上の注意については、マットレス本体から容易に離れない方法(布の縫い付けもしくは貼付け等)により表示する。
売り場での見え方にも、決まりが1つあります。
三つ折り状態で陳列されている状態でも、表示票が外から見える状態でなければならない。
スプリングマットレスの使用上の注意には、湿気を避けること、無理に折り曲げないことなどが入ります。
よくある質問
薄いウレタンのマットレスにも、同じ札が付きますか
ウレタンフォームマットレスの規程は、ウレタンフォームの部分の最大の厚さが50mm以上のものに限っていました。それより薄いものがどう扱われるかは、読んだ2頁には書かれていません。
札の硬さの数字で、寝心地は分かりますか
規程が決めているのは、硬さの測り方と表示の言葉です。寝心地との関係は、読んだ2頁には書かれていませんでした。この記事でも扱っていません。
札が付いていないマットレスは、どうすればよいですか
規程は、表示した者の氏名又は名称と、住所又は電話番号を付記するとしています。札が見当たらないときは、売り場や販売元に尋ねるのが確実です。
この整理が変わる条件
- 消費者庁の「製品別品質表示の手引き」や、雑貨工業品品質表示規程が改められた場合(本記事は2026年9月26日に読んだもの)
- ウレタンフォームとスプリングのどちらにも当たらないマットレスを見るとき
・表示の決まりは、ウレタンフォームとスプリングで別々に置かれている
・ウレタンフォームの「かため」は110ニュートン以上、「やわらかめ」は75ニュートン未満の区分
・復元率は「それ以下の数値」で控えめに書く決まり
・スプリングは、折り畳めるものを「連結式」と表示する
・使用上の注意は、本体から離れにくい方法で付けることになっている
出典
- 消費者庁「ウレタンフォームマットレス」(製品別品質表示の手引き・雑貨工業品) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/zakka/zakka_08.html
- 消費者庁「スプリングマットレス」(製品別品質表示の手引き・雑貨工業品) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/zakka/zakka_09.html
買う前に、売り場で札の項目と数値を確かめてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: