なぜそうなるか
スプリング入りのマットレスを粗大ごみで出せるかは、市町村で違う——廃棄物処理法は、市町村での処理が全国で難しいごみを国が指定できるとし、廃スプリングマットレスはその1つでした
買い替えの時期が来て、古いマットレスをどうするかで手が止まることがあります。布団なら畳んで出せても、ばねの入ったマットレスは重く、形も崩れません。
粗大ごみの申し込みをしようとして、受け付けていないと知る人もいるでしょう。隣の市に住む家族からは、普通に出せたと聞いた。そんな食い違いが起きるのは、なぜなのか。
表示票に書かれた硬さや構造の決まりは、前の記事で消費者庁の規程から読みました。今回は、使い終えたあとの話になります。
手がかりは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法にありました。家庭から出るごみの処理は市町村の仕事ですが、この法律には、処理の難しいごみを国が指定する仕組みが置かれています。
スプリングマットレスは、その指定を受けた品目の1つです。ただし、指定されたから一律にこう扱う、と決めた条文ではありません。受け入れるか、どう出させるかは、市町村の設備と判断に委ねられた形でした。
この記事では、法律の第6条の3を e-Gov 法令検索で、環境省が公開している指定の通知を、そして3つの市の頁を、2026年9月27日の時点で読みました。お住まいの市町村での出し方は、その市町村の案内で確かめてください。
・廃棄物処理法の第6条の3は、市町村での適正な処理が全国で難しいごみを、国が指定できるとしている
・環境省の通知によれば、指定されたのは自動車用のタイヤ、大きいテレビと冷蔵庫、そして廃スプリングマットレスの4つ
・指定の効果は、市町村長が製造や販売をする事業者に協力を求められるようになること
・国分寺市は市で集めず、八街市は解体したものに限り、名古屋市は一部の区で専用の車両で集めていた
廃棄物処理法は、マットレスについて何を決めているの?
スプリングマットレスは、法律で「捨て方」が決まっているの?
第6条の3の見出しは「事業者の協力」です。第1項は、指定の要件を書いています。
環境大臣は、市町村における一般廃棄物の処理の状況を調査し、一般廃棄物のうちから、現に市町村がその処理を行つているものであつて、市町村の一般廃棄物の処理に関する設備及び技術に照らしその適正な処理が全国各地で困難となつていると認められるものを指定することができる。
第2項が、指定されたときに市町村ができることです。
市町村長は、前項の規定による指定に係る一般廃棄物になる前の製品、容器等の製造、加工、販売等を行う事業者に対し、環境省令で定めるところにより、当該市町村において当該一般廃棄物の処理が適正に行われることを補完するために必要な協力を求めることができる。
条文の主語は「市町村長」で、述語は「求めることができる」でした。住民の出し方を定めた文は、この条には入っていません。
指定されたのは、4つの品目
では、実際に何が指定されたのか。環境省の頁に、平成6年6月20日付の通知が残っています。当時の厚生省の部長から、都道府県と政令市にあてたものです。
今回告示により、一般廃棄物のうち、次のものが指定された。
続く一覧は、自動車用の廃ゴムタイヤ、25型以上の廃テレビ受像機、250リットル以上の廃電気冷蔵庫、廃スプリングマットレスの4つでした。タイヤは自動車用に、テレビと冷蔵庫は大きさで絞られていますが、マットレスには条件が付いていません。
指定の観点も、通知に2つ書かれています。そのうちの1つがこれです。
(2) 全国的に、市町村の設備及び技術に照らしその適正な処理が困難な状況にあること
指定されると、何が変わるの?
国が指定したら、市はもう集めなくていいの?
通知の「特定事業者の協力の内容」の最初の項目です。
(1) 市町村は、今回指定された一般廃棄物(以下「指定一般廃棄物」という。)を適正に処理することが困難な場合に、困難となっている処理の過程に限り、特定事業者に対し協力を求めることができるものであること。
特定事業者とは、ごみになる前の製品を作ったり売ったりしている事業者のことです。通知はその協力の例として、新しい製品に買い替えるときに販売店等で引き取ることを挙げていました。
同じ通知の終わりには、市町村の責務にも触れた項目があります。指定されたごみの処理を市町村が直接しない場合でも、その処理経路等について承知しておく必要がある、という書き方でした。
当方の読みでは、指定は市町村の手を離すものではありません。市町村が困ったときに、作り手や売り手を頼れる道を法律で開いたもの、という位置づけです。
市町村によって、扱いはどう違う?
結局、自分の市では出せるの?
国分寺市は、市で集めていない
東京都の国分寺市は、よくある質問の頁でこう答えていました。
スプリング入りマットレスにつきましては、廃棄物処理法の規定により、市町村による処理が困難な物に指定されており、当市での中間処理施設の設備では、適正な処理を行うことが困難なものであることから、「処理困難物」と位置付けております。
続けて、処分の頼み先も書かれています。
そのため、当市における「処理困難物」を処分したい場合は、収集運搬業許可業者へご依頼ください。
八街市は、解体して分けたものなら受け入れる
千葉県の八街市は、令和5年8月1日から扱いを改めていました。
令和5年8月1日から国が適正処理困難廃棄物に指定している解体されていないスプリング入りマットレスを受け入れしません。
解体したものについては、次の文があります。
これまでも解体分別について協力をお願いしてきましたが、令和5年8月1日以降は、解体し、スプリング(鉄)、布、木、ウレタン、スポンジなどにすべて分別したものに限り受け入れ及び粗大ごみ収集が可能になります。
同じ頁は、処分したいときの最初の相談先として、購入店や製造業者などを挙げていました。
名古屋市は、粗大ごみとして集め、一部の区で車を分けている
名古屋市の頁は、粗大ごみとして受け付けたうえでの話でした。
粗大ごみとしてお申し込みいただいたスプリングマットレスを一部の区において別の車両にて収集します。
車を分ける理由として、構造にも触れています。
スプリングマットレスは、ばねが複雑に絡み合った構造のため、処理が非常に難しい品目です。
頁によれば、新たに竣工予定の工場の破砕設備が小規模であることが、別に集めるきっかけでした。
よくある質問
ばねの入っていないマットレスも、同じ扱いですか
環境省の通知が挙げていたのは廃スプリングマットレスで、ばねの無いものには触れていません。八街市の頁は、スプリングの入っていないマットレスは従来どおり受け入れると書いていました。ほかの市町村での扱いは、それぞれの案内によります。
自分で解体すれば、どこでも出せますか
解体したものを受け入れると書いていたのは、読んだ3つの市のうち八街市でした。国分寺市と名古屋市の頁には、解体を条件とする文はありませんでした。解体してよいかどうかも含め、お住まいの市町村に確かめるのが先です。
買い替えのときに、店で引き取ってもらえますか
通知は、特定事業者の協力の例として、買い替えの際の販売店等での引き取りを挙げていました。ただし、個々の店が引き取るかどうかは、この通知からは分かりません。買う店に尋ねてください。
この整理が変わる条件
- 廃棄物処理法の第6条の3や、指定の告示が改められた場合(本記事は2026年9月27日に読んだもの)
- 国分寺市・八街市・名古屋市が、頁の扱いを改めた場合(名古屋市の別収集は、工場の設備に合わせたものと書かれていました)
- お住まいが、読んだ3つの市のどれでもない場合
・廃スプリングマットレスは、廃棄物処理法の第6条の3にもとづいて国が指定した4品目の1つ
・指定は、市町村が作り手や売り手に協力を求められるようにする仕組みで、出し方を全国で揃えるものではない
・読んだ3つの市でも、集めない・解体すれば集める・車を分けて集める、と扱いが分かれていた
・申し込む前に、お住まいの市町村の案内を開いておく
出典
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第6条の3(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137
- 環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第六条の三の規定に基づく一般廃棄物の指定について」(平成6年6月20日 衛環197号) https://www.env.go.jp/hourei/11/000481.html
- 国分寺市「スプリング入りマットレスは、粗大ごみとして市で収集してくれますか。」 https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/faq/kurashi/1005237/1005283/1024351.html
- 八街市「スプリング入りマットレスの処分について」 https://www.city.yachimata.lg.jp/soshiki/22/43636.html
- 名古屋市「スプリングマットレスの収集方法」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/gomi/1012183/1035058/1012184/1050604.html
粗大ごみの申し込みの前に、お住まいの市町村がスプリング入りのものをどう扱っているかを見ておいてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: